昨今話題になってきていて、採用される例もかなり増えている「オール電化住宅」について考えてみましょう。
「オール電化住宅」とは?
住宅内でエネルギーを用いて使用する「照明・温水・暖房」に関して電力のみで作動させる設備を完備した住宅をいいます。暖房のみ灯油式だったりする場合は「セミ電化住宅」となります。
なぜ、電力会社は「電化住宅」を推進しているかというと、作った電力を蓄えることができないことと、使ってもらえばもらうほどコスト低減が図れるからです。「電化」というと非常にクリーンなイメージがありますが、実際に電力を作っている発電所は、火力発電所・水力発電所・原子力発電所が主力で、火力発電所のウェイトが軽くはありません。その火力発電を見てみると、電気を作るには重油を燃やしてタービンを回転させ発電しています。一般家庭に届くのには長い距離の送電線を通り、電気エネルギーは半分以下になってしまいます。実に効率が悪く環境にやさしいとは言いがたい状況です。また、原子力発電ではタービンを冷却するために海水を多量に使い、熱くなった海水を海に戻しています。周辺の海の環境が変わってしまっています。そんな現実を考えると環境にやさしいとは思えません。でも、一般家庭内では「燃焼」というものがないので、「クリーン」なイメージが強いのだ゙と思います。照明や家庭電化製品、工業用電力においては現在のところ他に代用が効かないため、電力が必要です。しかし、熱源や温水にまで電力を使用するほどの発電は過剰なのではないかと思われます。電気はないと困りますが、過剰なほどあると溜めることができないので「消費」するように仕向けなければならないのです。それには、一般家庭の住宅を「オール電化」にすることで、1世帯あたり従来の10倍以上の消費が見込めるわけです。
「電磁波」とは?
電線に電気を流すとフレミングの法則により磁力が生じます。電磁力といいます。その磁力線の周波数を高くし高周波にすると近くにある物の分子を動かし、摩擦で熱が発生します。この性質を利用したのが電子レンジです。これは日本の電機メーカーが新幹線の食堂車用に開発したものが最初と言われています。この電子レンジは500W〜600Wの高出力なので金属の箱で覆われ(シールドされ)、箱の外に電磁波が漏れないようになっています。漏れるとどうなるかというと、そばにいた人は高周波火傷をおこします(表面は針の穴のような点の火傷があり、内部の細胞が電磁摩擦の熱で火傷状態になる)。電子レンジでは立体的に暖めるために放射状に電磁力線を発します。
これに対して、IHヒーターは金属のなべやフライパンの平らな底に対して電磁力による熱を伝えるために空中にではなく、IHヒーターの箱の中だけで電磁力を使用し、熱伝導によってなべを暖める仕組みになっています。この仕事をするために2000W〜3000Wを出力します。電子レンジの4〜5倍です。
電子レンジもIHヒーターも高周波火傷をしないように金属の箱で覆われていますが、電磁波が全く漏れないという保証はありません。あくまでもメーカーが抜き打ちでテストをした製品が基準値内であるということなのです。はたして基準値内であれば大丈夫なのでしょうか?たとえばパソコンで仕事をする人が「電磁エプロン」を着用して使用しています。これは人体に悪影響があるためであり、特に妊婦さんは胎児に非常に影響があるとされているからです。パソコンの電磁波は数十W程度といわれています。家庭用テレビとあまり変わりませんがテレビは離れてみているのでそれほど影響はないようです。IHヒーターは電磁出力はかなり多くすぐそばで使用するので、使用する場合は、「電磁エプロン」の使用を考えた方がいいかもしれません。
「オール電化住宅」の設備の中で「電磁波」が特に関係しているのは「IHヒーター」なので「電気温水器」と「蓄熱暖房機」は「電磁波」の心配はあまりないと思われます。
最近「アスベスト」が話題になっています。使われ始めて30年も経過しているのに、今頃になってです。なぜ今まで公表されなかったかというと、これが原因で死亡したという確証が今ひとつだったことと、公共施設や民間の鉄骨造のビルにはかなり多く使われているため、うかつに公表すると大パニックになることが予想されたため、国は年数をかけて「確証」を固め、関係各所に打診をしながら公表に踏み切ったわけです。使用禁止になったのはつい最近ですからそんじょそこらにあります。内装仕上げ材があるために見えませんが、鉄骨造の建物には必ずといっていいほど使われています。
ご注意:私は「IHヒーター」の営業妨害をしているつもりはありません。古い器具はシールドが怪しくなってくると電磁波の漏れが生じます。安全のために古い器具は点検と場合によっては交換をご検討された方がいいと思います。